物件が気に入って不動産の売買契約をしました。しかし、しかし、その直後
・お金を援助してくれる親が猛反体。
・体調を崩して家を購入している場合ではなくなった。
・会社を解雇。
・離婚。
・ローンが通らない。
何が起きるかわかりません。契約後にその契約を解除したい場合や契約違反による解除等をご説明をいたします。
不動産の売買契約とは
不動産の購入の流れは超簡単に言うと
申込 → 契約 → 引渡し
になります。
この契約を済ませたという事は、売買が成立し
売主は
買主に対して契約書通りの状態で引渡日に物件を引渡し権利を移転する責任
買主は
売主に対して引渡日に残代金とその他費用を支払う責任
が発生します。
この契約後に、問題が起きたとします。
売主、買主双方契約の解除は出来ますので、なんだかの理由で
契約後に契約を解除したい場合は契約書通りの様々な制約
ペナルティが設けられてあります。
手付金の放棄(手付解除)、売買代金の一定額の違約金などの負担が
発生することがあります。
契約の解除のケースごとに、どんな時に解除ができ、どんな負担が
売主、買主に発生するのか説明いたします。
不動産売買契約 やっぱりやめたい時の解除の例
手付解除(手付金の放棄)
不動産売買契約をする時に手付金というものを買主が売主に対してお支払いします。
金額は色々ですが10万円~50万円が最近の相場になっています。
その手付金を支払う契約にしてあると、通常手付解除という契約内容が契約条項に入って
います。
普段、高崎不動産で使用している全日本不動産協会の雛形の不動産売買契約書を
見ながら説明いたします。
![](https://will-plan.sakura.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2021/05/33-724x1024.png)
手付金は50万円とします。
手付解除期日を設けます。契約日から1週間~2週間の期限を設けます。
![](https://will-plan.sakura.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2021/05/222-724x1024.png)
上記の不動産売買契約条項の第14条に内容が書いてあります。
内容は
手付解除期日であれば、
売主は手付金の倍の金額を買主に支払えば手付解除ができます。
契約書の内容が手付金が50万円ですと100万円買主に支払えば
手付解除ができるという事です。
買主はお支払いした手付金を放棄すれば手付解除ができます。
契約書の内容ですと50万円を放棄するということです。
14条の1行目「売主、買主は、本契約を表記手付解除期日までであれば
その相手方の本契約の履行着手の有無にかかわらず、互いに書面により通知して
解除することができます」と書いてありますが
その相手方の本契約の履行着手の有無にかかわらずの意味とは、
売主が所有権移転登記の申請を行った等
買主が手付金の他に内金や中間金の支払いを行った等などが履行の着手になります。
ただし、14条の内容は履行着手しても、解除ができるという事です。
ですから、この手付解除期日は、契約後はお互い何も進められないので
期限を短くしてあるのです。
合意解除
売主、買主双方で話し合い、契約書に記載されていない内容でも
お互いが納得すれば合意で解除はできます。
後から話が違うと言われるとトラブルの元になるので、
内容を書面にして売主買主両方の署名捺印をしておくべきです。
その他の不動産売買契約の解除
ローン特約の解除
買主が住宅ローンを借入して不動産を購入する場合(ほとんど利用しますが)
契約書の特約でローン特約を付けています。
ローン特約とは、買主がローンが通らなかった場合
この契約を白紙にしますという特約です。
![](https://will-plan.sakura.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2021/05/66-724x1024.png)
上記のようにローン特約を付ける場合、期日を設けます。
融資取得承認期日とは、この日までに融資の承認をとってくださいという
意味です。
融資利用の特約に基づく契約解除期日とは、この日までは契約の解除ができます。
それ以降はできないという意味です。
![](https://will-plan.sakura.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2021/05/44-724x1024.png)
![](https://will-plan.sakura.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2021/05/55-2-1024x572.png)
上記第17条にローン特約が記載してあります。
正式には「融資利用の特約」と言います。
ローンが通らなかった場合は、完全に白紙状態になり買主は手付金を返還してもらえます。
しかし、4の
「買主が第1項の規定による融資の申込手続きを行わず、または故意に融資の承認を
妨げた場合は、第2項の規定による解除はできません」とは、
申込手続きをしていなかったり、故意に承認されないようにした場合は適用されません。
ローン特約による解除は契約書に最初から記載してある内容ですので、解除になっても
揉める事もありません。
最近の傾向では、ローンの事前審査をだして承認を得てから契約をしますので
解除になることもほとんどありません。
契約違反による解除 ・ 契約不適合責任による解除
契約違反による解除
売主が引渡しに応じない場合、買主が代金を支払わない場合などの契約違反が
行われたときは契約の解除ができます。ただし、契約の履行を求める催告をし
それでも履行されなかったときは解除する旨を通知して契約を解除できます。
![](https://will-plan.sakura.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2021/05/88-724x1024.png)
上記の契約書に違約金の額が設定してあります。
売買代金の20%と書いてあります。
売買価格が1,000万円なので違約金の額が200万円となります。
![](https://will-plan.sakura.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2021/05/77-724x1024.png)
上記、第15条に「修補の遅滞を含む契約違反による解除・違約金」が書いてあります。
違約金が売買代金の20%なのでそれ以上は請求できません。
契約不適合責任による解除
「契約不適合責任」とは聞きなれない言葉だと思います。
2020年4月に法が改正され、それまでは「瑕疵担保責任」と言われていました。
瑕疵と言う言葉を「契約の内容に適合しないもの」という言葉に変えたんです。
「契約不適合責任」という意味ですが、売買物件の引渡し後
一定期間内に瑕疵や欠陥が判明し買主が指摘した場合
売主が対応(修補等)するということです。
この対応(修補等)が出来ない場合
買主がこの物件を購入し目的が達せられない時は契約の解除ができるという事に
なっています。
契約不適合責任に契約の解除については、第15条の契約違反による解除と同じに
なります。
引渡し完了前の滅失・損傷による解除
契約後、引渡しまでに台風や地震など天災地変がおきた時に、売買物件の修補も出来ない
状態は契約の解除ができます。
![](https://will-plan.sakura.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2021/05/99-724x1024.png)
上記の第10条です。修補が不能、修補しても過大な費用がかかるときは契約を解除で
きると書いてあります。売主は預かっていた手付金を返金しなくてはいけません。
契約自体に売主、買主、不動産会社も落ち度がありませんので
契約自体は白紙解約と同じです。
クーリングオフによる契約の解除
クーリングオフで契約の解除が出来る場合は
1.売主が不動産会社
2.その契約を不動産会社の「事務所以外の場所」で締結していること
「事務所以外の場所」とは、不動産会社が一方的に自宅を訪問して契約した場合、電話勧誘をして呼び出された場所で契約してしまったケースです。買主から自宅での契約を申し出た場合はクーリングオフは適用されません。
上記1、2の要件を満たしていても、クーリングオフによる契約解除の期限は不動産会社がクーリングオフについて買主が告知された日から8日間です。8日を経過してしまうとクーリングオフはできなくなりますのでご注意ください。
その他
解除による違約金は税対象?
不動産売買契約の解除によって得た、手付金、違約金は課税対象となり一時所得になり
確定申告が必要です。忘れずに申告してください。
解除になったら、支払った仲介手数料は?
不動産売買契約をする前に、売主も買主も媒介契約を結びます。
媒介契約とは、
売主の場合は、売却依頼をお宅の会社依頼したよという契約
買主の場合は、購入物件をお宅の会社でお願いして購入しますという契約
です。
この媒介契約を結んでいると
・手付解除 → 仲介手数料の支払いあり
・合意解除 → 内容によると思われます
・ローン特約の解除 → 支払う必要がありません
・契約違反による解除 → 仲介手数料の支払いあり
・契約不適合責任による解除 → 不動産会社に責任が無ければ支払いあり
・引渡し完了前の滅失・損傷による解除 → 支払う必要がありません
・クーリングオフによる契約の解除 → 支払う必要がありません
仲介手数料の支払いがある場合は、話し合いにもよります。
例えば、手付解除の場合で少額の手付金を違約金がわりに頂いても
仲介手数料が高額だと違約金ともなりませんので仲介手数料の減額で
話し合うことが多いと思われます。
「契約の解除」と申しておりますが、「契約の無効」「契約の取消」という
こともあります。
「契約の無効」は売買契約自体が成立していませんので仲介手数料は発生しません。
「契約の取消」も、契約は遡及的に効力を失い初めから存在しなかったことになり
ますので仲介手数料は発生しません。
まとめ
不動産会社としては、売主、買主両方にいい取引をさせてもらったと喜んで頂く
ことを前提に契約に取り組んでいます。ですから、契約の解除などしていただき
たくもないですし、その間に入るのも正直嫌です。今回の内容を書くのも
縁起が悪くて嫌だなあと思いましたが・・・
契約書というのは、万が一のために修補請求、解除などの事を事細かく書いてあ
ります。
契約の日に売主様、買主様双方に、契約書と重要事項説明書を読み上げており
ますがなんとなく意味は理解をしていただいておりますが、なんとなく頭に
入っていない事もあるのではと思います。
契約前、契約後にトラブルがおきた時など参考に読んでいただければと思います。
コメント