兄弟と共同名義になっている不動産を売却する際は、通常の売却よりも 「合意形成」と「手続きの複雑さ」に注意が必要です。以下に重要なポイントをわかりやすく解説します。
全員の同意が必須
共同名義の不動産を売却するには、名義人全員の同意と署名・押印が必要です。
共有者全員の同意が必要で1人でも反対すると売却できません。
売却の話を進める前に、しっかり話し合い、意思を揃えることが最初のステップ
です。
売却価格、売却時期、分配方法なども事前に合意しておくとトラブル防止に
繋がります。
誰がどれだけ持ち分を持っているか(登記簿で確認)をまず把握。
例:持ち分割合が 兄50%、弟50% → 双方の同意がなければ売却不可
「持ち分」の売却はできるが注意が必要
名義人の1人だけが、自分の「持ち分」だけを第三者に売却することは可能ですが…
現実的には売却しにくい(買う側のメリットが少ない)
買主が不動産業者や投資家など「訳あり物件」になることが多い
共有者トラブルの元になる可能性もあり
遺産分割協議書を確認
相続で共同名義になった場合は、遺産分割協議書の内容も再確認してください。
遺産分割が済んでいない状態で勝手に売却は不可。
実はまだ登記が被相続人名義のまま…というケースも多い

売却代金の分配方法を事前に決める
持ち分に応じて自動的に配分されると思われがちですが、以下のようなトラブルが
起こることも・・・。
「自分の方が管理をしていた」「リフォーム代を出した」など主張の食い違い
売却代金や諸経費(仲介手数料、登記費用、測量費、解体費)は持分割合に応じて
分配するのが原則です。
代表者が1度まとめて受け取った場合でも、各自に課税されるため注意が必要です。
必ず事前に書面(覚書など)で取り決めておく
委任状や代理人の準備
共有者の中に遠方在住者や高齢者がいる場合、代表者が動くことになる場合は
委任状や代理人の設定が必要になることがあります。
判断能力に問題がある場合は成年後見制度の利用も検討します
税金の申告は各自で行う
売却によって発生する 譲渡所得税は、各名義人がそれぞれ申告・納税する必要があります。
譲渡所得 =(売却額×自分の持ち分)−(取得費・経費)
特例(3,000万円控除など)を使えるかどうかは、個々に判断されます
まとめ
よくあるトラブル例
●兄弟の1人が売却に同意しない 話し合い・弁護士を通じた交渉
●遺産分割が未完了で名義が故人のまま 相続登記・協議書作成が先
●売却後の代金配分で揉める 事前に配分割合と理由を明記
●課税額に不満がある 各自で税理士に相談・申告
兄弟間の共有名義不動産の売却は、全員の合意・事前調整・持分割合での分配・税務
申告が大きなポイントです。
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